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2006年10月19日 (木)

NO SIDE 第14話~ミウ2~

私は講義中も後ろの彼の事が気になっていた。

(…やっぱり怒ってるかな?)

後ろからの視線が痛かった。
彼が怒るのは当然だ。
いきなり知らない女性から
席を譲れと言われ、
その理由が自分の名前が
書いてあるからというのでは、
到底納得のいく話ではない。
しかも、あんな言い方で…。

(…なんで私はあんな言い方しか
できないんだろう)

幼い頃から負けん気が強く、
男の子相手に喧嘩しても
負けた事がなかった。
中学の時に両親を失ってからは、
ますますその傾向が強くなり、
男子には煙たがられ、
女子の間ではなぜか人気があった。
ただ、その「強さ」は、
自分の寂しさや弱さを
他人には見られたくないという
気持ちの裏返しであるということを、
自分でよくわかっていた。

(講義が終わった後でにでも、
謝ったほうがいいかな?)

そんな気持ちもあったが、
謝る理由を説明しづらい。
そんなことを考えながら受けていた
講義が終わり、
まだその後の行動を悩んでいる
私を気にする事なく、
その彼は、さっさと教室を
出て行ってしまった。
次に会った時にでも
謝ろうと考えながら、
私は次の講義の教室に向かった。

その日の講義が全て終わると、
前から見つけていた喫茶店に
バイトの面接に向かった。
祖母に世話になっている私は、
高額な音楽大学の授業料を
少しでも負担する必要があった。
祖母にだけ迷惑はかけられないという
気持ちで一杯だった。
平日は授業があるので、
大学の近くでバイトしたいという
希望があった。
だから前もって大学の近くで、
バイトの募集をしているところを、
見つけておいたのだ。
さらに土日は、別のバイトをしようと
考えてもいた。
祖母は、そこまでしなくていいと
言ってくれているが、
そうでもしないと、
私を希望の大学に通わせるために、
無理をしている祖母に
申し訳なかった。

喫茶店のマスターは、
私の事情を理解してくれて、
「明日からおいで」と
言ってくれた。
学校が終わった後だけでなく、
講義の合間も働きたいという
私の想いを理解してくれた。
良いマスターに会えて、
嬉しかった。
こうして私の大学生活は、
始まった。

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