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2006年10月 1日 (日)

NO SIDE 第7話~そして再び~

話し始めてみたら思っていたよりも
スムーズに話をすることができた。
それはきっと隣で聞いてくれているセナさんが、
ちゃんと話を聞いてくれていたからだろう。
彼女は真直ぐに僕を見ていた。
そして目をそらさずに僕の話を聞いてくれた。
時おり微笑んだり、頷いたり首をかしげたり、
ちゃんと僕と向いあってくれていた。

考えてみればミオを失ってから
こんな風に誰かと向かい合って
話すことなどなかったのだ。

「そっか…。二人の出会いは最悪だったわけだ」
「そうだったんだ。
ミウは今まで僕が知っている女性の誰よりも
最低の印象だった」
「でもあなたの中に強烈なイメージを
残したわけね」
「そうだと思う。普通に出会っただけだったら、
もしかしたら好きにならなかったかもしれない」
「なんかわかるなぁ、その気持ち。
最初のイメージは良すぎるか悪すぎる方が
きっと後でいろいろな発展があるんだろうね」
そして彼女は少し寂しそうに微笑んで言った。
「その点私なんかダメだわ。すごく普通だもの」
「そんなことないよ。僕は初めて会って、
こんなに楽な気持ちでいられる女性は初めてだよ。
それもすごく印象的なことだと思う」
「…ありがとう」
何かとても嬉しそうに彼女は微笑んだ。

あまりにも僕たちが座っていたベンチでは暑いので、
僕と彼女は公園の近くのカフェに移動した。
今ではあたりまえのように見かけるカフェだが、
僕の学生の頃にはなかった風景だ。
コーヒーが飲みたければ、ミウがバイトしていたような
喫茶店に行くしかなかった。
そしてそんな喫茶店でコーヒーを飲むことが
ステイタスでもあった。
カフェはどこへ行っても同じ味を楽しめる
安心感はあるが、何か物足りなさを感じる。
喫茶店のコーヒーは、その店により味が違った。
初めての店では、どんなコーヒーが出てくるのかが
本当に楽しみで、あの待っている時の時間は
かけがえのないものだった。
けして安くない飲み物だったので、
味がハズレた時には、本当にがっかりしたものだ。

「あの頃はこんな風に気楽に
コーヒーが飲めるなんて考えられなかったよ」
彼女はそんな他愛のない話でも
真剣に聞いてくれた。
「そうね…。私、あなたと同じくらいの年齢だと思うから、
なんとなくその気持ちがわかるわ」
「…セナさんて何歳なの?」
「初めて会った女性に年齢を聞くのは
ルール違反よ」
「そうだね。…失礼だよね」
「ねぇ…。続きを話してよ。
そんな二人が、なぜつきあうようになったのか。
すごく知りたいわ」
「ミウとつきあうようになったのは、
そうだな…、きっかけは雨かな」

そして僕は再び1995年に戻った。

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