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2006年10月16日 (月)

NO SIDE 第13話~ミウ1~

1995年 4月

良い天気だった。
ちょっと蒸し暑さはあるけれど、
この季節の晴れの日は、本当に気持ちが良い。
予定より遅れ気味だったので、
私は少し急ぎながら、大学への道を歩く。

(後ろから5番目の窓際)

昨日セナから聞いた場所を思い出していた。

(まだ、誰も座ってなければ良いけど…)

それにしてもせっかく
一緒に同じ大学に通えると思ったのに、
しばらくは無理だと思うと残念だ。
セナはもともと呼吸器官が弱くて
高校の頃から学校を休みがちではあったが、
今回は受験の疲れも重なり、
ちょっと長い休みになるかもしれない。

「お願いがあるの」
「なに?」
「私夏の講習の時に、合格したら
ここに座るって席を決めてあるの」
「へえ…。そうなんだ」
「ミウ…、私の代わりにそこの席に座ってよ」
「私が…、セナの代わりに?」
「そう。私にとってあの席は
とても大切な席なの。だからお願い」
「だけどさ、どこの席かわかるかな?」
「大丈夫よ」
「なんでよ?」
「受験の時に、机にミウの名前書いたから」
「…」

早く元気になって、一緒に大学に行こうと約束して、
昨日はセナと別れた。
それにしても、机に落書きなんて、
セナも結構大胆だ。

(でもなんで私の名前なんだろう?)

時々セナはそうなのだ。
まるで先のことがわかるみたいに、
行動する事がある。
きっと私の名前にしたのも、
自分がスタートから行けなくなる事を
予測してのことだろう。
セナがくるまで、彼女の分も頑張ろうと思いながら、
私は大学の門をくぐった。
講義の教室に入ると、
私はすぐに窓際の後ろから5番目の席をさがした。

(げっ!)

すでにその席は座られていた。
しかもこの大学では、数少ない男にだ。
何となく見たことのある顔だった。

(受験の時に見たのかな?)

私は一度後ろの席に座り、
彼に気づかれないように、
セナの書いた落書きをさがす。

(あった!)

たしかにその席には、私の名前が書いてある。

(どうしよう…、セナとの約束だし…。
でも男かぁ…。めんどくさいなぁ)

どうせセナな見てないし、
「座ったよ」って一言ウソをつけばすむことだけど…、
病室のセナの顔を思い出すと、
そんな裏切りは出来ないと思った。

(よし!)

私は思い切って立ち上がり、
その彼の前に立った。

「ねぇ」

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