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2006年10月 4日 (水)

NO SIDE 第10話~突然のデート2~

それは、小さなお葬式だった。
参列していた人数は20名くらい。
後でミウに聞いたら身内ではなく、
近所の人や、おばあさんの友達らしい。

坊さんのお経が始まり、焼香が始まった頃に
ミウが僕のところに楽譜を持ってきた。
「これ…。すぐ弾けるでしょ?」
「…まぁ、これくらいなら」
渡された楽譜はジャンニスキッキの
「私のお父さん」だった。
「じゃあ、お願いね。お経が終わったら演奏するから」
「あのさ…。ピアノを弾くのはいいんだけど…。
これは何?君のおばあさんの葬式?
なんで僕を連れてきたんだ?」
「ごめん、後で話すから…。
ピアノお願い。ばあちゃんの大好きな曲だったから」
そう言うとミウは自分の席に戻っていった。

そして…、演奏は無事終わった。

ミウの歌声を初めて聞いた。
とても澄んだ美しい声だった。
ドラマチックなアリアを歌うには、
物足りない声質だと思うが、
チャペルで賛美歌など歌わしたら、
とてもピッタリくると思う声だった。
そしてその歌声は、
僕にとってはとても心地の良い声だった。

その日の葬式は、ミウの歌で終了だった。
通常であれば、火葬場に向けて
出棺をするのだろうが、
今日はお経をあげてもらうだけという事だった。
そういえば、今日この場所に
ミウの両親らしい人を見かけなかった。
当然、おばあさんの葬式なら、
両親を始め、身内の人が参列していて
おかしくはない。

参列の人が皆帰り、
ようやく家の中は僕たち3人になった。
ミウのおばさんが飲み物を持ってきたので、
ようやく僕たちは落ち着くことができた。
「三杉くん、ご苦労様でした」
「うん、君もお疲れ様」
「ピアノありがとうね。歌いやすかったよ」
「あの曲は知っていたからね。
知らない曲だったら、無理だったと思うよ。
初見はあまり得意じゃないんだ。」
「そう?何でもさらっと弾いてしまいそうだけど」
「そんなわけないだろ…。
ところで、君の声いい声だね」
「本当?先生にはもっと迫力出して歌いなさいって
言われてばっかりだけど」
「いいんじゃないの。皆が皆同じように
声を張り上げて歌えばいいってもんじゃないでしょ」
「そう言ってくれると嬉しいけど」

家の中で見るミウは、
学校や喫茶店で見るミウと比べて、
すごくやわらかい感じがした。
そして、そんなミウの方が
何か自然に感じられた。
そして僕は、
そんなミウが少し
愛しいと思っていた。

Ob4

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